2010.11.23~25.
ネパール
エベレスト街道 トレッキング【ナムチェ~ゴーキョピーク編】
【4日目】 2010年11月23日 (火) 07:30起床
ナムチェで高度順応日を取り、爆睡もできたので体力も完全に回復。今日の予定ではドーレまで。標高4000mを越えてきます。3800m程でもう1泊はさむ事も検討しましたが、体調もすこぶる良いので先を急ぐ事に。だだ、いつ高山病になってもおかしくない標高なので、調子が落ちたら予定を変更する可能性も十分にあり。
今朝の天気はいまいち。タムセルクの山頂にも雲がかかっています。ナムチェからは先はいくつかルートがあります。シャンボチェ、クムジュンを通る眺め良さげルートもありますが、大変そうなので一番楽なルートで。チョルテン(仏塔)手前で、ペンタックスの一眼レフKxちゃんのレンズカバーが無い事に気がつく。朝はあったのに。慌てて戻るが発見できず。幸い予備があったので助かったけど、時間と体力のロス。
キャンズマまでは谷を見ながらひたすら歩く。現在は歩き易いようにかガードーレール&トレイルに石を敷き詰め作業中。一部完成している場所では、階段により歩幅が決められてしまい体力が奪われる。
キャンズマでティーのお時間。天気が良ければ前回でファンになった山「アマダブラム」が見えるらしい。ここで日本人5名の団体に遭遇。私とは逆ルートでカラパタールからゴーキョに行くらしい。お互い順調ならチョラ峠越え中に再会できるかも。
ササナ手前で分岐点が。左上はクムジュンからナムチェに逆戻り。道なりでテンボチェなどのカラパタール、エベレストBC方面。私はゴーキョの登りコースをチョイス。トレッキング中に何箇所か分岐点がありますが、基本的には標識があるので分かり易い。
ここから地獄の登り。しかしよくこんな所に道を作ったね。関心します。一応、柵らしきものも付いてますが、落ちたら終わりね。しかも、この道に入ってから人にほとんど会わなくなる。
やっと3975mのモンラに到着。すでに3776m富士山より高い所にいます。そりゃ疲れるわ。スタミナ補給にランチライム。食後に激甘ミルクティーをすすっていると天気が回復してきた。モンラからは「タムセルク」「カンテガ」「タボチェ」に大好きな「アマダムラム」などの6000m級の山が見えます。いやーネパールでトレッキングする醍醐味ですな。ここは1泊する価値があるかも。ただ場所的に少し中途半端かな。
谷の向こう側にはポルツェの村でしょうか。あんな所に行く人っているのかね。この時はそう思ってた。
モンラを出発すると、さっきの登りを帳消しにする下りが続く。何を血迷ったか、この坂を登ってくるカップルに遭遇。女の子の方はどちらかという死に近い表情。それもそのはず高低差は300m。しかも、照りつける日光が体力を奪う。
下りきるとポルツェの村が。何とデュードコシ川がすぐそこに見えるじゃない。谷底まで降りてきたよう。ここで分岐点。右に曲がるとさっき上から見たポルツェに行くようだ。あそこに行く奴なんて、そうはいないでしょ。この時もそう思っていた。分岐を過ぎると予想通りというべきか、またひたすら登り。しかもここは石段。うぉー体力奪われる。
優しさの欠片もない高さの石段に疲れ果てた時、建物が見えてきた。ついにドーレ到着かと思ったら、使われている様子もないアーミーチェックポイント。ただの廃墟なり。
着きそうで着かないドーレ。標高も上がってきたせいか、小川や滝に薄氷がはり始めてる。息も上がりもう歩きたくないと思ったその時。やっと村が見えてきた。村の手前はボロ屋ばかり。どこも和式ボットンじゃない。都会育ちのために幼少から洋式を愛用。そいつを求め歩き探し続けた。
おっ!川向うにキレイな宿が。まずはガイドブックに載っていたイエティーイン(左)に。中を覗いて唖然。見かけとは裏腹にクソぼろい。続いてドーレリゾート(右端)へ。名前からしていい感じ。なんせリゾートですから。トイレというトイレを確認するが、残念ながら全て和式ボットン。洋式探しを断念しチェックイン。
いつの間にか霧も覆われ、何も見えなす。ほんとうに周りには山があるのかね。夕食時、他の人についているガイド、ポーターが集まって談話中。噂によると昨日ゴーキョでドイツ人が死んだらし。たぶん高山病だろうと。一般的なトレッキング中に亡くなってしまう人はほとんどいないらしいけど。気を引き締めないと。
【5日目】 2010年11月24日(水) 07:00起床
今朝は快晴。歯磨きがてら外に出るとちょうどご来光。今回のトレッキングでお初です。今日も無事に歩けますように。予定ではマチェルモまでかなー。余裕があったらパンガまで。
宿の裏手の山を上がる。尖がった山が格好よす。前方には10名程の日本人と思われるグループが。絵になるなー。気がついたら森林限界線を越えていた。だだっ広い広場を歩く。
この辺りの展望は素晴らしい。山が迫りヒマラヤを歩いているんだな実感する。広場を抜けるとラバルマ到着。歩き始めてまだ1時間だけど、すでに息が上がる。さすがに4330mの高地。水を飲むのも少ししんどくなってきた。
それにしても本日は雲ひとつない良い天気。日中は20℃近くまで気温が上昇しているんじゃなかろうか。朝はマイナスなのに。フリースをまくり、チャック全開で尾根を歩く。遠くの真っ白な山は「チョオユー」ついに8000m級が見えてきた。
ひたすら歩くとルザの村が眼下に。この村でドーレを出てすぐに先を歩いていた日本人団体と遭遇し談話。何と全員が60才近い団塊の世代。元気だねーこんなネパールの奥地でトレッキングなんて。ルザを出て平坦な道を歩くとマチャルモらしき村を発見。
ここは写真(左)正面にあるマチャレモ氷河が削った谷。左端にある山「キャジョリ 6186m」は良いね。景色も良いし予定通りマチャルモで1泊と思ったけどまだ昼前。そこまで疲れてないし、次のパンガも標高が変わらないので足を延ばす事に。
しかし今日は人に会わない。エベレストBC、カラパタールに比べるとゴーキョは人気ないのかな。道は1本しかないから迷うはずないのに。少し不安になる。
ようやく1軒の掘っ立て小屋を発見。どうやらあそこがパンガらしい。 しかし何もねー。沢もないし水も汲めない。宿も一軒しかないじゃない。ノーチョイスでファンガビュポイントホテルにチェックイン。
ホテルは設備もなかなかエグイ。何とトイレが陶器ではなく穴式。しかもオーナーの知恵か細い木を2本挟むだけで見事に共同スペースを実現。部屋の鍵も故障中でセキュリティーゼロ、昼に食べた「フライドライスwチーズ」も激マズ。
そんなファンガビューポイントの最大の売りはホスピタリティー。ビジネスライクな宿が増える中、さり気無い気配りもあり、受付、食事、清掃、水汲みと一人で全てこなしてる。家族をゴーキョに残してのネパール版単身赴任。頭が下がります。
日が落ち始め、えらく寒くなってきた。そりゃそうだ。すでに4400m近くにいるわけで。そんな事を考えていたら後頭部が痛くなってきた。高山病の初期症状かも。一緒の宿にいるノルウェー人カップルの彼女も頭痛がするとノックダウン気味。チョオユーの夕焼けだけ撮って早めに床に入るも寝つきが悪い。とにかく喉が渇く。高地だと酸素不足で知らず知らず呼吸が増え、その時、息にまじった水分が蒸発するらしい。明日はいよいよゴーキョ・ピークだ。
【6日目】 2010年11月25日(木) 07:00起床
昨晩はほとんど寝れず体調もいまいち。ただ、頭痛はすっかり消えていた。予定通りゴーキョを目指し、宿に荷物を置いてゴーキョ・ピークへ行き、ヒマラヤ山脈のパノラマを見る予定。
昨日と同じような天気ならエベレストに夕日が当たる所が見るかも。
パンガを出ると荒涼とした景色が続きます。この辺りでは雪崩で日本人が犠牲になった事もあるらしい。
しばらくすると石段が続きます。途中の沢で飲み水を確保して、ついでにシャツと靴下を水洗いし洗髪。生き返えーる。
階段を抜けて橋を渡ると湖が。出ましたファーストレイクでございます。シェルパ語では「Longponga Tsho」。読み方わからず。
この湖ではダックの家族が住んでました。こんな標高の高い所に餌があるんでしょうか。湖畔沿いを歩いていると右側のモレーン(氷河が押し出した堆積土砂)にトレイルを発見。特に標識らしきものもありませんが、地図を見るかぎり、ンゴズンバ氷河を越えてチョラ峠に行く道に違いない。今回の目標であるチョラ峠越えが明日に迫ってきた事を実感。ガイド無しで本当に行く事ができるのかしら。ちょっぴり不安になってきた。
セカンドレイク「Tboche Tsho」まで辿り着くと、前方に丘が見えてきます。トレイルらしきものも見えるし、あれがゴーキョ・リに違いない。ちなみに「リ」とは頂上の意味らしい。つまりゴーキョピークですな。
そして、ついに4750mのゴーキョ到着。宿の目の前にはサードレイク「ドゥードポカリ湖」が。いやー青い。この写真だけだとロッキーのモレーン湖みたい。ちなみにお部屋はレイクビュー。しかも1泊たったの250円也。部屋に入り写真を確認してたらトラブル発生。青空に黒い点が、、、、。どうやらミラー部にゴミが入ったよう。これからが写真撮影の本番なのに。レンズを外してブロアーでふいたら、余計に埃が混入。うぉー乾燥地帯最悪。1時間近い作業を繰り返し、ようやく気にならないレベルに。
重い荷物は宿に置き、地図、一眼レフ、コンデジ、水1リットル、クッキーだけ持って午後2時過ぎにゴーキョピークへ出発。湖畔沿いを歩き、石を積み上げた橋を渡るとゴーキョピークへと続く登山口の看板が。5360mと表記してある。ゴーキョの村が4750mだから、差し引き610m。ここをほぼ直登しゴーキョピークへ。この時点ではまだエベレストどころか他のヒマラヤ山脈もほとんどは見えません。今までとは違い思い荷物の負担は減りましたが、ひたすら登るで辛い。5歩ごとにハーハー。小休憩が必至。チューブ式水筒から水を吸い上げるのも苦しい。
それもそのはず標高5000mを越えると酸素は地上の半分。歩き出して30分。上から見るターコイズブルーに輝くドゥードポカリ湖、ゴーキョの村とその裏を流れる長いンゴズンバ氷河とモレーン、そり立つタボチェとチョラツェ、そして真っ青な青空が素晴らしい。素晴らしいよ。これは大きな湖がなく山が近いカラパタール方面では見えない風景。日ごろ、カナディアンロッキーで氷河湖や山を見慣れている自分でもヤバイです。あぁやっぱり来て良かった。明日あのンゴズンバ氷河を単独で無事で越える予定。自然のでかさに不安がよぎった。
そして2010年11月25日午後4時15分、無事にゴーキョピークに到着。
ゴーキョピークからは世界最高峰エベレスト、第4位ローツェ、第5位マカルー、第6位チョオユーという8000m峰が見えます。次第に日が落ち始め、夕日に染まるヒマラヤ山脈。8000m峰のエベレスト、ローツェ、マカルー3山の山頂部が最後まで夕日にあたり、赤く染まっているのが分かります。午後5時過ぎ完全に日が落ち、辺りは紫色の変化。ヤバす。
ギリギリまでゴーキョピークからの景色を見ていたので、帰り道は真っ暗闇。もちろんヘッドライドを持っていましたが、正直どこを歩いているのかは分かりません。村の明かりで方角だけは何とか分かりますが。一人で下っていたため、途中で放牧しているヤクと遭遇した時は、心臓が止まるかと思いました。精神的によくないです。単独の場合、帰り同行者を見つけて帰りましょう。
ゴーキョの宿に戻ると頭痛がひどい。ゴーキョピークにいた時は興奮で気がつかなかったのかも知れない。おかげで全く寝れない。しかし頭だけは冴えるので、いらん事を考えてしまう。よりによって数日前にゴーキョで亡くなったドイツ人の話を思い出した。レンジョ峠を越えゴーキョに着き、シャワーを浴びてから寝た後そのまま起きてこなかったらしい。明日ちゃんと起きれるのだろうか、、、